「山干飯 小字のはなし」 04 上杉本(かみすぎもと)

以下の内容は、白山読書会のメンバーによって昭和61年12月に出版された「山干飯 小字のはなし」の内容をデータ化して公開しています。

上杉本(かみすぎもと)

普通杉本と言っているが、立待村吉江にも杉本という村があるので、白山村の杉本は河上にあるので、上杉本というようになった。この集落は杉本谷の中程にあって、丸岡、沓掛、勝蓮花、小野方面からの通学路に沿った十一戸ほどの村であったが、近年になって、都辺や県道沿いに移転したので現在では元のところには一軒もなくなって、今では神社だけが残っている。

この杉本谷の道は、武生方面からは小野、勝蓮花、沓掛、丸岡をへて、都辺、黒川、中野、牧、若須方面へ通ずる唯一の道で重要な道路だった。杉本谷と丸岡とのさかいに、長さ六十米ぐらいの小さなトンネルがある。このトンネルを越して通学した。

今では菖蒲谷よりに道路ができたのでだんだんと人通りも少なくなり荒れ果ててきた。現在では農作業や、山仕事に行く人が通るぐらいである。

昔から都辺、杉本といわれてきたので、小字も持主によって、都辺地籍、杉本地籍になったようで、非常に入りくんでいて厳密に分けることはむずかしい。

一、小字名

1 かみのたん(上ノ谷)

2 なかのたん(中ノ谷)

3 おおひら(大平)

4 とりごし(鳥越)

5 まえ(前田)

6 みずかみ(水上)

7 むらなか(村中)

8 むらした(村下)

9 さいがんだ(西願田)

10 おかぐらでん(御神楽殿)

11 きたがたん(北ヶ谷)

12 こだんぐち(小谷口)

13 どうでん(堂田)

14こだん(小谷)

15 おしだ(押田)

16 ごおず(ゴオズ)

17 ぐみだん(茱谷)

18 たかだ(高田)

19 ほりだ(保利田)

20 むかいがわら(向川原)

21 だいみようじん(大明神)

22 なわて(縄手)

23 しもむらなか(下村中)

24 かみむらなか(上村中)

25 しょぶしょぶショブショブ)

26 なかやま(中山)

27 うしだん(牛谷)

28 しもかまいだん(下竈屋)

29 おにのつくり(鬼ノ作)

30 しもきたがたん(下北ヶ谷)

31 あまがたん(尼ヶ谷)

32 うまおとし(馬落し)

33 おくかまいだん(奥竈屋)

山林

34 おまつばた(御松畑)

35 ひがしがたん(東ヶ谷)

36 かみぐみだん(上茱谷)

37 ひがしうちだん(東丑谷)

38 むらのうえ(村の上)

39 おやまだん(御山谷)

40 みやがだん(宮屋谷)

二、小字について

1 上の谷 杉本谷の一番上の方にあるから上の谷という。杉本トンネルに近い。

2 中ノ谷 杉本谷の中間にあるから中ノ谷という。

3 大平 おおひらとよんでいるが、それ程広くはない。

5 前田 昔の神社の前にあたるところと思われる。

6 水上 清水の源だろう。

7 村中 村の中央に位置したところにある。

8 村下 集落の道の下にあるからそういったらしい。

9 西願田 集落の西の方向になるからと思われる。

10 御神楽殿 昔御神殿があったところからそのように言うらしい。

11 北ヶ谷 集落からみて北の方にあるからそういったのだろう。

13 堂田 昔尼寺があったので堂田という。

16 ゴオズ 現在の中学校のある場所。

20 向川原 集落の向いの川べりにある田であるからそういったらしい。

25 ショブショブ 菖蒲がたくさん生えていたらしい。

30 下北ヶ谷 北ヶ谷より下の方にある谷だからそうよんだらしい。

31 尼ヶ谷 竈谷の奥の方にある谷で大きなほら穴がある。

32 馬落道 巾が狭く、けわしい所で馬も落ちそうなところだったようだ。

33 御松畑 昔神社があり、松の神木があったらしい。

37 東丑谷 都辺の丑谷に続き現在の公民館及び白山出張所の敷地の一部に含まれている赤土の瘦山で雑木林であった。高くて大変見晴しのよい場所である。

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